自らの経験をもって感じた「知ること」の大切さ
金光諒二さんは、若干27歳の若き社長。大阪教育大学在学中からその高い指導力が評価され「難関校受験といえば」のあの大手進学塾で理科講師として活躍していました。しかし当時は、将来は教師になるよりも「起業したい」という思いが強かったと言います。「しかし、いざ起業といっても自分が何をしたいのかがわからない。そんなとき、受験を前にした子どもたちと社会に出ようとしている自分の姿が重なったんです。私は塾講師として、志望校に入ったら何かできるのか’合格のその先’を見せることで子どものやる気スイッチを押してきました。なのに、自分は社会を知らないじゃないかと」。そこで、卒業後はとにかくいろんな業界をまずは知ることから始めようと人材コンサルティング会社に就職。「営業職につき、多くの社長に会って直接話を聞くことができました。今考えてもとても貴重な経験です」。
その後、「教えたい願望がふつふつと湧いてきて」再び教育の世界へ。業界大手の進学塾で教室運営と指導にあたりながら、今度は志望校の情報だけでなく、仕事や社会のことを伝え、より具体的に子どもたちが自分の未来をイメージすることでやる気を引き出す指導法を確立していきました。「学生時代の経験があったこともあり、最初から6年生を担任として受け持ち、多くの合格に立ち会うことができました」。「自分の未来を描けるようになったとき、子どもが出す力はすごい」と金光さんは言います。「受験はそれ自体が目的ではありません。その先を見て今勉強する。そのためには、仕事や社会のことなど、早いうちから未来の自分を描くための材料を知っておくこと。そうすれば多くの選択肢から選ぶことができるし、壁にぶつかっても逃げ道がわかります」。
来年度は教室を開校予定。体験型イベントも開催
現在は個別指導と家庭訪問’主に行っている同社ですが、来年度以降は西宮市内に教室を開校する予定。「とにかく子どもにたくさんの体験をさせたい。小学生向けの会社説明会や職業体験をしたり。パン職人と一緒にパン作りの体験をして、その仕事だけでなく‘発酵’について学ぶなど、職業体験を学びにつなげる授業なども考えています」。現在スタッフは6人いますが、「教師は勉強を教えるだけでなく、ひとりの大人としての姿もリアルに見せていきたい」と言います。「なので採用基準は‘自分を語れる人’。弁護士の夢に向かって頑張っている人、数学がめちゃくちゃ好きでそれをきっかけに子どもと関わりたい人…子どもたちには身近な大人の姿から何かを感じてほしい。今と未来はつながっている。勉強と仕事もつながっている。子どもたちが未来を意識しながら夢に向かって学ぶためのきっかけを作るのがメンターフッドの使命です」。
自分らしく働く姿を子どもたちにも見てもらいたいですね。

大学を卒業して、新卒で専門商社に入社し3年経理の仕事をしていました。今は、メンターフッドの「メンター(教師)」として、英語の個別指導を行っています。私はカメラが好きで、プロフィール写真などの撮影の仕事を頼まれることもあるのですが、普段からカメラを通して人を見ているとブレのある人が感覚的にわかるんです。今子どもを教えていて、その身に付いた感覚がすごく活かされているのを感じます。子どもが何も言わなくても、ちょっとした様子や変化から「何か問題をかかえているのかな」「ちょっとしんどそうだな」とわかることが多くて。勉強を教えながらも、子どもの置かれている状況に寄り添うことができればと思っています。私自身、将来はまだ模索中なのですが、いつでも自分らしくいられればと思っています。迷ったり悩んだりしながらも頑張っている姿を子どもたちにそのまま見せていきたい。いい悪いではなく、経験として何かを感じて未来の自分に生かせてもらえたらと思います。